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「ん…」 朝陽が顔に降り注いで、御伽くんは眼が醒めました。ブラック・クラウンが炎上し、それによる火災保険などで現在はマンション暮らしをしている御伽くんの部屋には、土曜日である昨日から本田くんが泊まりに来ています。御伽くんのお父様については、今回は語りません。 一人暮らしな為、広いとは言えない御伽くんの部屋。ベッドも一つしかないし、客用の寝具などありません。高校生の男二人、どのように夜を過ごしたのか? どちらかが布団のない床で寝たのか? 心配する事なかれ! 御伽くんは節約をしてダブルベッドを購入していた為、二人は一つのベッドで眠っていたのでした。今まで色々ありましたし、二人は友達。一つのベッドで夜を明かす事に抵抗はありませんでした。 「朝か。…あれ? あ、そうだった、本田くんが来てるんだった」 御伽くんは本田くんの方を振り返って、小さな声で呟きました。本田くんはまだ眠っているようです。実はこの二人、昨夜は調子に乗って少々お酒を飲んでしまっていました。 (どうしようかな) 御伽くんのベッドは壁際に設置されており、更に御伽くんは壁際に寝ています。本田くんをうまく跨げるでしょうか?確か、ベッドに入った時には反対だった気がしないでもないのですが……。穏やかな本田くんの寝息が聴こえてきます。気持ち良さそうなので、起こしてしまうのは忍びないと御伽くんは思いました。 (…まいったな) 本田くんの寝顔を見ながら、御伽くんは長い前髪をかき上げました。本田くんの凛々しい眉は、今は心なしか下がっているように見えます。ぐっすり眠っているようです。そこで、御伽くんは思いつきました。 (そうだ。足下から抜け出そう) 御伽くんは、空いているベッドの足側へずり下がってベッドを抜け出す事を考えたのです。しかし、本田くんが掛け布団をしっかり被っている為、御伽くんは布団に潜らなければなりませんでした。 (―― よし) 御伽くんは掛け布団を頭まですっぽりと被ると、本田くんの躰に当たってしまわないように、少し腰をずり下げました。 「う…ん」 本田くんが御伽くんの方に寝返りを打ちました。 (起こしちゃったかな?) 御伽くんは潜ったまま、黙って本田くんの様子を窺いました。 ―― うん、大丈夫みたいです。規則正しい寝息が聴こえてきますし、本田くんの胸も上下(?)しています。 (良かった。じゃあ気を取り直して……) 本田くんの躰に気を配りながら、本田くんとの距離を保つ為に御伽くんは手を滑らせました。おっと、危ない。肘が本田くんの胸に掠ってしまいました。しかし、今回も本田くんは起きなかったようです。 (危ない危ない) すす、と掌を滑らせます。すると、ちょん、と掌に硬い感触が生まれました。 (あれ、パンツのウエストかな……) 何となく、御伽くんが触って確かめようとした時、御伽くんは硬直してしまいました。 (これは…も、もしかして) 御伽くんは手をパンツのウエストかと思われるものから離そうとしましたが、腕が言う事を聞きません。あ、指は動きそうです。御伽くんは、中指の第一関節を曲げてみました。 (……!!!!! や、やっぱりそうなんだこれはあれなんだ僕は本田くんのあれを触ってしまったんだそうだこれは本田くんのあれなんだ) 御伽くんは眼を見張る速さで心の中の口を動かしました。そうなのです、御伽くんが触ってしまったのは、本田くんの、朝立ち仕様のジョン、或いはピータだったのです。御伽くんも本田くんと同じく男性です、本田くんと同じものを持っているのです。更に現在の仕様だって同じです。男性固有の生殖器なのですから、珍しいものではありません。では何故、御伽くんは本田くんのミスタ・朝立ちから手を離さないのでしょう? (本田くんのって…お、大きいんだ) ―― ふぅ、やれやれ。大きさの違いですか。世の中には男性同士でミスタのサイズを比較してしまう癖のある方がいます。仕方がない事でしょう。ですが、何故、御伽くんは本田くんのミスタから未だに手を離さないのでしょうか? (へぇ) 「へぇ」じゃありません。あろう事か、御伽くんは指を動かして本田くんのミスタの形を探っているではありませんか。御伽くんは、穏やかに眠る本田くんを起こしたくないのではありませんでしたか? (あ、何か、どきどきしてきた…) きゃあ! ……ああ、もう! 見ていられません!! 御伽くんってば、本田くんのミスタを指で抓んでしまっているではありませんか……。 (どうしよう) 知りません。 (僕、何してるんだろ) 私は知りません。―― あ、あらやだ。あ、あ…! 御伽くん、本田くんのミスタを抓んだまま指を動かしていますよ……! (うわあ、大きくなった……) あなたのもなるでしょ。 「ん……」 ―― 御伽くんには、周りの音が、聴こえていないみたいです(小声)。 「…御伽?」 本田くんは覚醒し、小さく呟いて壁を見つめました。御伽くんは見当たりません。それよりも……何だか今朝は、いつもと下半身が違うような……。夢精してしまったかな、と疑いながら、本田くんは掛け布団を勢いよく捲りました。 「―― お、御伽ぃ!?」 驚いて、本田くんは眼を見開いて大きな声を上げました。掛け布団が捲られて漸く気づいた御伽くんは、本田くんのミスタを抓んだまま、またもや硬直していました。 「お、お、……」 哀れ本田くん、驚きのあまり言葉になりません。一方、硬直した御伽くんは、恐る恐るゆっくりと、本田くんの顔を見上げました。 「…や、やあ。おはよ……」 表情筋の引き攣った顔で、御伽くんは、本田くんに朝の挨拶をしました。既に、ミスタとはしていますけれど……。 「おッ、お…! お、お」 ああ、何と哀れな本田くん。まだ言葉が紡げません。 「は、はは……。朝、だよね」 ゆっくりと本田くんのミスタから手を離しながら御伽くんが言いました。 「わー! わ――!! わ――――!!!」 本田くんはパニックもパニック、突然叫びだしたかと思いきや、荷造りもせずに御伽くんの部屋を一目散に飛び出していきました。 「あは、あはは……、はぁ」 御伽くんは、渇いた笑い方をすると、がっくりと肩を落としてベッドに沈んでしまいました。本田くんの残り香が、更に御伽くんを打ちのめしました。
翌日。教室で城之内くんが本田くんに挨拶をすると、本田くんは一度肩を震わせてから「ああ」とだけ返事をしてから自分の席に着きました。いつもは城之内くん達と話しているのに。どうやら本田くんは、日曜日の朝の一件で男性恐怖症気味のようです。―― ああ、何と哀れな。 |
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